前立腺肥大症について

 尿が出づらい、残尿感があると自覚がある男性は前立腺肥大症の可能性があります。 前立腺肥大症の症状は頻尿、排尿困難、尿意切迫感などで、進行すると尿閉(尿が膀胱にたまっているので排出できず、膀胱の緊満によって下腹部の痛みを伴う)や膀胱結石、腎不全を来すことがあります。

 前立腺肥大症は前立腺が年齢を重ねることによって次第に大きくなる良性疾患です。前立腺は性成熟後から40〜50歳までは20g以下のクルミ大の大きさですが、その後段々と大きくなり、80歳代では約90%が前立腺肥大を伴っています。

 しかし、症状を来すかどうかによって治療の必要性が生じるため、すべての男性が治療が必要な訳ではありません。

 また、前立腺肥大症から前立腺がんに進展するわけではありません。(併存していることはあります。)

 前立腺の進行度は尿の勢い、残尿量、前立腺の大きさ、自覚症状(IPSS, QOL スコア)によって分類されます。

 泌尿器科医は上記パラメーターを考慮し、まずは生活指導や薬物療法を開始し、薬物治療の効果が不十分だったり、手術の方が症状が改善する見込みが高い場合に手術療法をお勧めすることになります。

 

 

 IPSS(国際前立腺スコア)

 なし

 たまに

ときどき

2回に1回

だいたい

 いつも

いつも

排尿後に尿がまだ残っている感じがありますか

 0

 1

  4

排尿後2時間以内に

もう一度 トイレにいきますか

 0

 1

  4

排尿途中に尿が途切れることがありましたか

 0

 1

  4

尿を我慢するのがつらいことがありましたか

 0

 1

 4

尿の勢いが弱いことがありましたか

 0

 1

 4

排尿開始時にいきむ必要がありましたか 

 0

 1

 4

寝てから朝起きるまで何回排尿に起きましたか

 0回

 1回

2回

3回

 4回

5回以上

 0

  1

 2

 3

  4

 5

 

 

 前立腺肥大症領域別重症度判定基準

重症度

1. 症状


2. QOL


3. 機能


4. 形態


I-PSS

QOL index

Qmax       RU

前立腺体積

軽 症

07

0,1

≧15ml/sかつ<50ml

20m l

中等症

819

2,3,4

≧5ml/sかつ<100ml

50ml

重症

2035

5,6

5ml/sまたは≧100ml

≧50ml

 

 

 前立腺肥大症全般重症度基準

   軽症    軽症34項目 or 中等症1項目

   中等症 重症1項目 or 中等症2項目

   重症   重症項目が2以上

 

前立腺肥大症の治療

① 生活習慣改善

② 薬物療法

③ 手術療法

 

 

① 生活習慣改善

  アルコールの摂取制限

  刺激性食物(とうがらしなど)の制限

  便通の調節 (便秘をさける)

 

② 薬物療法

α1ブロッカー(商品名:ハルナール ユリーフ フリバスなど)

作用:前立腺による閉塞の機能的要素を減少させ、症状を軽減する。症状の緩和は約3分の2にみられる。副作用としては起立性低血圧、易疲労感、射精障害、鼻づまり、頭痛、眠気など。

 

5α還元酵素阻害薬(商品名:アボルブ)

作用:男性ホルモン(テストステロン)から高活性男性ホルモン「ジヒドロテストステロン」(DHT)への変換を抑制し、前立腺容積の減少効果により、尿道の機械的閉塞が緩和され、下部尿路症状や尿流の改善が期待されます。男性ホルモンは減少しません。

 

抗コリン薬(商品名:ベシケア・ステーブラ・デトルシトールなど)

前立腺肥大症に過活動膀胱の症状が合併した際に使用することがあります。

一般的にはα1ブロッカーと併用することになります。

 

③ 手術療法

前立腺肥大症に対する手術治療は①薬物治療の効果が不十分 ②中等度から重度の症状 ③尿閉・尿路感染・血尿・膀胱結石症の合併がある などの場合に適応なります。

 

TUR-P:経尿道的に挿入した内視鏡下に、内視鏡先端の切除ループに通じた電気メスで前立腺組織を切除し、多数の組織片として回収する。合併症として輸血・TUR症候群(手術に用いる視野確保用の灌流液の吸収に伴う低ナトリウム血症)・逆行性射精・尿失禁・尿道狭窄などがあります。

 日本でもっとも普及している治療法です。

 

HoLEP:経尿道的に挿入した内視鏡下にホルミニウムレーザーを照射し、前立腺腺腫を剥離・核出し、細切用の機器を用いて体外に排出する。出血は少ない傾向にあるものの手術時間がTUR-Pよりも長い傾向にあり、レーザー装置が高価なため、整備されている病院が少ないのが現状です。