尿閉

前立腺肥大症になると当初は『尿が出にくい』、『尿が出きらない』、『尿が充分に貯められない』など、様々な尿のトラブルが出現するようになります。


その後、風邪薬やアルコールを飲むなどが引き金となり、尿道が完全に塞がって出そうと思っても尿が出なくなることがあります。これを『尿閉』といいます。尿閉が急激に生じると、膀胱の周りの激しい痛みを感じます。

 

一方で、痛みを伴わず徐々に悪化して痛みがない尿閉の状態が続くと、尿もれ(溢流性尿失禁)が出現したり腎臓に悪影響を及ぼす(逆流性腎症や腎後性腎不全)ことがあります。

 

尿閉を生じた場合には薬を飲みながら、『尿道カテーテル留置』または『自己導尿』を行い、尿の管理を行います。

 

 その後の長期的な治療法として『薬による治療の継続』、『内視鏡手術』、『自己導尿』が考えられます。

 

薬による治療で効果が不十分な場合に、内視鏡で前立腺の閉塞を解除する手術を行うか、手術をしない場合には細い管を使用してご自身で残った尿を体外に排出する必要があります

尿道カテーテル留置

野々村祝夫先生 監修 『そのまま使える!泌尿器科手術のすべて』より

『尿道カテーテル留置』

尿道から膀胱内に樹脂製のチューブを挿入し、膀胱で風船を膨らませます。風船がつっかえ棒となるため、自然に抜けることは通常ありません。この処置で、 膀胱に溜まった尿が体外に排出され集尿袋にたまるようにします。炎症によって悪化していることが予想される場合には1〜2週間後にカテーテルを抜いて、自分で尿が出せるか確認を行います。

 

『自己導尿』

自分で尿を抜くための細い管を尿道から入れて、膀胱に溜まった尿を排出します。この手技を一日に数回行う必要があります。

図は『よくわかる、男性の排尿読本 グラクソ・スミスクライン社』より抜粋