前立腺肥大症の内服治療

前立腺肥大症に対する薬として『前立腺と膀胱・尿道の緊張を緩める薬』と『前立腺を小さくする薬』の2つが主要な薬です。症状が強い場合にはこの両方の薬剤を併用することがあります。内服治療で管理が不十分な場合には、手術をお勧めすることになります。

前立腺と膀胱・尿道の緊張を緩める薬


 

前立腺と膀胱・尿道の緊張を和らげたり、平滑筋を弛緩させることで閉塞を減少させ、尿を出しやすくします。

比較的早期に効き目が出てきる薬です。

 

 

α1遮断薬:代表薬 ハルナール®︎ ユリーフ®︎ フリバス®︎

前立腺や尿道の筋肉の緊張を緩和します。

副作用としては起立性低血圧、易疲労感、射精障害、鼻づまり、頭痛、眠気などがあります。

 

ホスホジエステラーゼ5阻害薬:代表薬 ザルティア®︎

筋を弛緩させ、尿道の抵抗や血流を改善します。

副作用としては頭痛、めまい、ほてりなどがあります。

前立腺を小さくする薬


 

前立腺肥大症の発症と進行に関わる男性ホルモンの活性を減らすことで、肥大した前立腺を小さくし、尿を尿を出しやすくします。

即効性はなく効果が出るまで数ヶ月から半年間かかります。

 

 

5α還元酵素阻害薬:代表薬 アボルブ®︎

前立腺肥大に関与する活性型男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制し、肥大した前立腺を縮小させることによって症状を改善する。男性ホルモン自体は減少しません。

 

副作用としては勃起不全、女性化乳房、乳房痛、倦怠感などがあります。

 

                           図は 平尾佳彦先生 編集『よくわかる、男性の排尿読本』より 

 

 膀胱刺激症状を弱める薬 


 抗コリン薬:代表薬 ベシケア®︎・ステーブラ®︎・デトルシトール®︎など)

前立腺肥大症に過活動膀胱の症状『昼間のトイレが近い、夜中トイレが近い、急に尿意をもよおし我慢できない』が合併した際に使用することがあります。

 

膀胱収縮力を弱めるため、前立腺肥大症によって残尿が多い場合には残尿を減らす効果のあるα1遮断薬と併用することがガイドライン上推奨されています。