2021年度 ESWL(体外衝撃波結石破砕術)の治療成績


 2021年のESWL症例数は741症例、治療件数は846件でした。

  ESWLの治療成績は『結石の位置、大きさ、成分、長期間停滞していたか』等によって影響されます。

詳しくは以下を確認ください。

 

治療率・完全排石率の定義


有効の定義:

   『レントゲン上、結石が破砕され4mm以下となった』

 

完全排石の定義:

   『レントゲン上、結石の残りが完全にない』

 

長期嵌頓結石の定義:

   無症状で健診のエコーなどで高度水腎症で発見された尿管結石 または 長期間(6ヶ月〜1年以上)尿管に

   詰まったままになった尿管結石

 

尿路結石症の位置による分類


 

 

 

腎実質内 

 

 腎臓内部(腎杯・腎盂内)

 

 腎臓と尿管のつなぎ目

 

 

 腎臓の出口から骨盤上縁まで

 

 

 

 骨盤骨に重なる

 

 骨盤下縁から膀胱移行部まで

 

腎結石(R2:腎杯結石)破砕治療の成績


 腎結石(R2:腎杯結石)の体外衝撃波治療の成績は

大きさと結石の位置で異なります。

 特に腎臓の下に位置する結石(下腎杯結石)が排出する確率は腎臓の構造によって影響されます。

排石しやすい構造かどうかはCT検査の冠状断によって推測が可能です。

 

 下腎杯以外の10mm以下の結石では81.5%の症例で、下腎杯の結石では55.1%の症例でレントゲン上完全排石を認めました。

 完全に排石するかどうかは腎臓の構造により影響されます。

 

直径10mm以下の結石

下腎杯以外(27例)

平均治療回数1.07回、有効率%、完全排石率81.5%でした。

下腎杯(49例)

平均治療回数1.12回、有効率%、完全排石率55.1%でした。

 

直径10〜20mmの結石

下腎杯以外(38例)                                                                                                               平均治療回数1.21回、有効率%、完全排石率68.4%でした

下腎杯(33例)                                                                                                                     平均治療回数1.21回、有効率%、完全排石率51.5%でした。

 

  結石長径が20mm前後の場合には画像検査を評価し、治療効果および合併症のリスク軽減を目的として内視鏡手術(f-TUL)等を初期治療としてお勧めする事があります。

 

腎結石(R3:腎盂腎杯結石)破砕治療の成績


  この位置の結石は10mm以上の大きさで発見されることが多く、腎臓と尿管間の解剖学的な影響で通過障害を伴うことが多くなります。結石の嵌頓に伴う水腎症が顕著である事が多く、破砕された結石片が腎臓内に残りやすい傾向にあります.

 

直径10mm以下(8例)

平均治療回数1.13回、有効率%、完全排石率75%でした。

 

直径10〜20mm(16例)

平均治療回数1.38回、有効率%、完全排石率81.3%でした。

 

 内視鏡手術(TUL)を必要とする症例はありませんでした。

      

 

      

上部尿管結石(U1) 破砕治療の成績


 2019年に上部尿管結石に対して衝撃波治療を行った87%が結石の痛みを契機として診断された『一般的な結石』でした。この場合,体外衝撃波治療による完全排石率は約90〜95%で良好です。内視鏡手術への移行を必要とする症例は2例のみでした。

 一方で痛みの自覚なく健診の超音波検査で水腎症(尿管の通過障害)を指摘されたり、水腎症の存在下で長期間(6ヶ月〜1年以上)同じ位置から移動せず放置した結石の場合は『嵌頓結石』の疑いがあります。嵌頓結石は炎症による尿管の肥厚・閉塞を伴っている事が多く、一部の症例で衝撃波治療で結石を破砕しても尿管に取り込まれている結石の排出が難しい事があります。

 

2020年以降は『無症状で発見された、高度水腎症を伴う尿管結石』ではESWLが無効であることを想定して内視鏡手術を第一選択治療として推奨しています。

 

 一般的な結石

 直径10mm以下(221例)

平均治療回数1.08回、有効率100%、完全排石率95.5%でした。内視鏡手術(TUL)を必要とする症例はありませんでした。

 

 直径10〜20mm(55例)

平均治療回数1.16回、有効率%、完全排石100%でした。内視鏡手術(TUL)を必要とする症例はありませんでした。

 

この位置の尿管結石では、破砕された結石片が腎臓に戻って排石されない事があります。10mm以下の結石で4.5%、10〜20mmの結石で9.1%が腎臓に結石片が残った状況で経過観察となりました。

       

  嵌頓結石

 直径10〜20mm(10例)

平均治療回数1.50回、有効率%、完全排石50%でした。

 破砕効果不良のため内視鏡手術(TUL)へ治療法の変更が必要な症例は4例 (40%)でした。

 

中部尿管結石(U2)破砕治療の成績


 この位置の結石は骨盤骨に重なる位置にあるため、レントゲンで結石が同定しづらくESWL治療ができない場合があります。当院では正面と斜位30度のレントゲン撮影で結石を同定して治療を行なっていますが、それでも確認ができない場合には内視鏡手術(TUL)を選択する必要があります。

 

10mm未満(67例)

 平均治療回数1.06回、有効%、完全排石率100%でした。

 

10〜20mm未満(12例)

 平均治療回数1.08回、有効%、完全排石率100%でした。

 

   内視鏡手術(TUL)を必要とする症例はありませんでした。

      

下部尿管結石(U3)破砕治療の成績


 

10mm未満(106例)

 平均治療回数1.09回、有効%、完全排石率95.3%でした。

 

10〜20mm(13例)

 平均治療回数1.15回、有効100%、完全排石率100%でした。

 

  内視鏡手術(TUL)を必要とする症例は10未満の症例の2例でした。

2例とも他の病気に対する治療期間の制限があり、2回目のESWLを選択せず内視鏡手術に移行しました。