経尿道的尿管結石破砕術(TUL)とは

経尿道的尿管結石破砕術 尿管鏡

 

経尿道的尿管結石破砕術は右記のような全長50cm程度の内視鏡を尿管内に挿入して直接結石を確認しながら結石破砕を行う治療です。体の奥まで手術器具が挿入されるため、腰椎麻酔などの麻酔が必ず必要です。

 

この治療が適応になる場合は以下のような場合が考えられます。

  • レントゲンで見えない結石のため、体外衝撃波による治療ができない。
  • 体外衝撃波治療を繰り返したが破砕効果が不良であった。
  • 一回の治療で治療を終了する確率を上げたい時。

全身麻酔または腰椎麻酔を行なったのちに、両足をあげて広げる体位で手術を行います。尿道から尿管鏡細い内視鏡を尿管内に挿入し、破砕装置で結石を砕きます。砕いた結石は鉗子などで取り除きます。必要時、合併症予防のために尿管ステントを留置します。ステントは術後しばらくして必ず抜く必要があります。この手術は結石が除去できる確率が非常に高いことがメリットですが、ESWLと比べ麻酔が必要で、以下の稀な合併症が起こることがあります。通常は2〜3泊の入院を要します。

 

ESWL治療で効果がない結石の場合には腎臓への障害を取り除くためにこの治療で尿管のつまりを解除する必要があります。

 

野々村祝夫先生 監修 『そのまま使える!泌尿器科手術のすべて』より

合併症

尿管穿孔(1.7%):治療経過中に尿管の一部に穴が開いてしまうことがあります。この場合には尿管ステントを長めに留置しておくことで治ります。

 

尿管断裂(0.1%):まれに尿管が裂けてしまう事があります。この場合には開腹手術や腎ろう造設などを行ないます。

 

尿路感染症(1.1%):手術後に腎盂腎炎を起こして高熱が出る事があります。中には重症化して敗血症性ショックを起こす事があります。

 

尿管狭窄(0.1%):結石による激しい炎症や手術の影響で、結石を除去しても尿管自体が狭くなることがあります。治療として複数回の内視鏡による拡張や狭窄部位を切除して再度縫い合わせる治療が必要になることがあります。

 

野々村祝夫先生 監修 『そのまま使える!泌尿器科手術のすべて』より