前立腺肥大症の進行度は『自覚症状(IPSS, QOL スコア)』、『前立腺の大きさ』、『尿の勢い』、『残尿量』によって分類、評価されます。
泌尿器科医は上記パラメーターを考慮し、まずは生活指導や薬物療法を開始し、薬物治療の効果が不十分だったり、手術の方が症状が改善する見込みが高い場合に手術療法をお勧めすることになります。
問診 IPSS(国際前立腺症状スコア) QOLスコア
問診:『尿の勢い、尿が残った感じがする、尿が途切れる、尿を我慢するのが難しい、尿をするのにお腹の力を使う、夜間にトイレに起きてしまう』 などについて
確認を行います。
患者さんには右記の問診票『国際前立腺症状スコア QOLスコア 』を記入していただきます。
この問診票で排尿症状の合計点でご本人の自覚症状を客観的に点数化できます。
前立腺肥大症診療ガイドライン 日本泌尿器科学会 RichHill Medical社より引用
超音波検査
超音波(エコー)検査:『前立腺の大きさ』と『残尿(排尿後の残った尿)』を測定します。
右:前立腺体積の測定 左:残尿測定 日本泌尿器科学会編集 『実践研修排尿機能検査』より
尿流測定検査
尿流測定:
トイレに似た装置に排尿して、『尿の勢いや量、排尿時間』などを調べます。
この検査は尿がある程度たまっている状況、2〜3時間程度排尿を我慢して検査する必要があります。
尿流測定の機器 日本泌尿器科学会編集 『実践研修排尿機能検査』 より
左図のように、尿の勢いがグラフ化されます。
若い男の人では青いグラフのように
最も勢いがあるタイミングで25ml/秒の勢いで排尿され、約20秒で排尿が終了します。
徐々に悪化すると、一秒間に5ml程度の排尿となり、排尿時間が2分程度まで延長します。
PSA検査
PSA検査:PSAは前立腺の細胞から作られる物質で、前立腺に異常があれば数値が上昇します。基本的には50歳以上の男性に検査を行います。
前立腺肥大症の重症度の判定
以上の検査により、ご本人の前立腺肥大症の重症度が判定されます。