体外衝撃波結石破砕術(ESWL)とは

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)とは、放電によって衝撃波を発生させる装置を用いて衝撃波のエネルギーを体内の結石に目標を合わせ収束し衝撃波の力で直接、結石を細かく砕く治療法です。衝撃波により砕石されて生じた破片は尿とともに体外に排出されます。

 尿路結石症の治療指針を記した「尿路結石症治療ガイドライン」の中でも、腎結石、尿管結石の治療としてESWLが推奨されており、現在多くの施設で破砕装置が設備されるようになっています。従来の開腹手術や内視鏡手術と同様に保険診療が認められています。

 

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は身体への負担が少ない点から尿路結石症の治療法の主役となっています。しかし、結石自体が割れにくい、結石が大きい場合は複数回のESWLが必要であったり、経尿道的結石破砕術(TUL内視鏡治療を併用しなければならない場合もあります。TULも尿道からアプローチを行うことで、腹部に傷ができず、効果的な治療が可能であり、結石治療の方針を決める際には泌尿器科担当医とよくご相談ください。 

 当院ではドルニエ社およびストルツ社の2台の最新の体外式衝撃波結石破砕装置を用いて結石の特徴にあわせて治療しております。結石治療には多少の痛みを伴いますが、1回の治療で破砕を行えるように治療効果をあげるためには衝撃波の強さを一定レベルまであげる必要があります。痛みがある状態では苦痛が強く、効果も減弱するため積極的に痛み止めを使用し除痛をはかります。このため当院では基本的に入院にてESWLを行います。また、結石の部位が痛みを引き起こしにくく、結石の大きさが小さい場合には痛み止めの量を最小限にして日帰りでの治療も可能ですので、どうぞご相談ください。

 

ESWLの適応

ほとんどすべての方で安全に治療できます。

しかし、以下の場合は原則的に治療は行いません。

  • 妊娠中の方
  • 出血傾向のある方
  • 腎動脈瘤のある方

また、治療の適応はありますが、尿管が狭かったり、長期間にわたって尿管結石が詰っていた場合には砕石に成功しても、そのままでは排石しない可能性があります。

 

極度肥満方や安静が保つ事ができない小児の場合、位置あわせが困難でこの場合は主に内視鏡治療が選択されます

 

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)の治療

 治療は破砕装置のベッドの上に仰向けもしくはうつ伏せとなり、レントゲンを用いて結石の位置あわせをします(下記 結石治療の実際参照)。位置合わせ後、30分~1時間の間に1000回~4000回程度の衝撃波を結石に向けて照射します。結石の部位や大きさによっては入院せず日帰り治療が可能な場合もあり、この場合は翌日から普段の生活や職場への復帰が可能となります。

治療中には衝撃波による痛みがありますが、積極的に痛みの管理を行って除痛を図り、治療効果を最大限に引き出します。治療には施行医師とともに、看護師が常駐し、心電図モニターや血圧・酸素モニターを常に監視し治療を行います。

 

 治療中は適宜レントゲン透視にて結石の位置・破砕の程度を確認していきます。

 

ESWLの合併症

皮下出血:衝撃波の通過する部位に皮下出血がみられることがありますが、数日で消失します。 

 

血尿:結石が衝撃波により動かされることで尿路の粘膜が傷つき出血するために血尿が出ます。治療直後に血尿が出ますが、通常数時間で収まります

 

尿管の閉塞:破砕された結石の破片が尿管内につまると痛みが生じます。鎮痛薬を使用し、症状を和らげます。

 

急性腎盂腎炎:症状としては38度以上の発熱、背部痛などがあげられます。尿路は通常無菌ですが、尿路に結石が存在すると尿に細菌が常在することが多くなります。尿管結石が原因で尿の流れが閉塞している状態で発症することが大半ですが、体外衝撃波治療により割れた結石から細菌がばらまかれ、尿および腎臓に感染することにより生じます。腎盂腎炎が生じた場合は抗生物質の点滴による治療が必要となります。場合によっては入院期間が延長したり、尿管ステントを留置することが必要になることもあります。

 

腎被膜下出血:衝撃波のために腎臓表面の細い血管が破綻して腎臓周囲に血腫が生じることがあります。発生率は1%程度とされています。症状としては疼痛の持続、血尿の持続などがあげられます。血腫の形成が疑われたときは血液検査、超音波検査などをおこない診断を下します。血腫が生じた場合には退院が延期となり、止血剤・抗生物質の点滴治療をおこないます。血腫は大きさにもよりますが数ヶ月で自然に吸収されます。

 

ESWLの留意点

・結石の大きさや硬さによってはESWL1回では全て破砕しきれないこともあり、数回の繰り返し治療が必要な場合があります。また、ESWLを複数回施行しても破砕効果不良な硬い結石の場合には麻酔下にTUL(経尿道的尿管結石破砕術)をお勧めする場合があります。

 

・比較的大きな結石(1.5cm以上)の場合には破砕された結石片が一度に尿管内に移動し尿管が閉塞することがあります。これにより、激しい痛みや急性腎盂腎炎を来すことがあります。この症状の予防のため、ESWL治療前に尿管カテーテルを挿入する処置を行い、尿の通過性を確保することをお勧めすることがあります。この場合、外来での排石の確認ののちカテーテルを抜きとります。

 

 治療前に発熱が生じた場合などには急性腎盂腎炎を発症するリスクが高まるため治療を中止することがあります。

 

尿管ステント (Boston Scientific ホームページより)
尿管ステント (Boston Scientific ホームページより)

結石治療の実際

① ESWLの台に横になり、点滴から抗生剤、鎮痛薬を投与します。

② レントゲンにて焦点を結石に合わせます。衝撃波装置を体に密着させます。

③ 治療を開始します。1分間に60〜120発のペースで衝撃波を照射します。

 徐々に衝撃波の強さをあげます。

衝撃波治療の操作盤
衝撃波治療の操作盤

④ 照射中にレントゲンで結石の割れ具合を確認しながら、微調整を行い10003000発照射し終了します。

 

⑤ 治療終了後、車いすにて病室へ移動し、ベットで痛み止めが切れるまで安静とします。

 治療後の尿はトイレにある個人用の集尿器に集めます。 

⑥ 翌日レントゲンを撮影し、治療効果を確認します。

 (早期に割れた場合には当日レントゲンを撮り、治療を終了するか判断します。)

 

⑦ 退院後2〜週後に受診していただき、レントゲン/エコー検査で結石の破砕状況を確認します。