尿路結石症の診断にはレントゲン検査、エコー検査、尿検査、採血検査の基本的な検査に加えて、必要時にCT検査、腎盂造影検査を組み合わせて診断します。また、尿路結石症に感染を伴う場合には尿培養検査を、尿路のガンを疑う際には尿細胞診検査を追加します。
検尿
結石発作の際には肉眼的に見える血尿がよく出ますが、肉眼的に見えない場合でも顕微鏡上の血尿やテステープで確認する尿潜血反応が生じます。また、感染を伴っている場合には尿の白血球反応が陽性になります。尿のpH(尿の酸性度)の推移によって尿路結石症を引き起こす潜在的な疾患を疑うことがあります。
尿検査の画像:赤血球を認める
伊藤晴夫先生 監修『新しい尿路結石症の診断・治療』より
白血球数などの炎症の程度や腎機能(クレアチニン)の確認、カルシウム、リン、尿酸などの尿路結石症を引き起こす可能性のある病気の確認を行います。
カルシウムが高い場合には、副甲状腺ホルモン(PTH)を調べることで原発性副甲状腺機能亢進症の有無を確認することができます。
腎臓や尿管、膀胱を確認します。尿管に結石がある場合には水腎症を、腎臓に結石がある場合には結石を描出することができます。
放射線でなく超音波なので体に対して侵襲がありません。
エコー検査の画像:水腎症
伊藤晴夫先生 監修『新しい尿路結石症の診断・治療』より
尿路結石の大きさや位置を確認する基本の検査です。ESWL治療の際にはレントゲンで見えるかどうかが重要なため必須の検査となります。
結石の多くはレントゲンで確認できますが、稀にレントゲンにうつらない結石(レントゲン陰性結石:キサンチン、シスチン、尿酸結石)もあります。その場合にはエコー検査やCT検査で確認をします。
右の図は向かって右が左腎臓、左が右腎臓となります。
この方の場合には右側の尿路には腎盂と尿管の移行部(R3)に1cm大と膀胱と尿管の移行部(U3)にそれぞれ結石を認めます。
左側の尿路には左の腎臓(R3)3cm大の結石が存在することが判断できます。
上部に示したレントゲン画像を具体的に腎臓→尿管→膀胱への尿の流れを示すと右図のようになります。
← 腎臓・腎盂
← 尿管
← 膀胱
レントゲン検査やエコー検査で結石の確定診断ができない場合や、結石の有無や個数など詳細な位置を確定するために行います。
レントゲンで写らない成分の結石や1〜2mmの小さな結石や腎臓のはれ(水腎症)も確認できます。
右のCT画像では右の腎臓結石が指摘できます。
CT検査はほぼすべての結石を検出できますが、放射線被曝の観点から必要時のみ行います。
造影剤を点滴から静脈内に注入して経時的(10分、20分、30分)にレントゲンを複数回撮影します。
尿管の走行を明らかにすることで、結石の確認や尿管結石による閉塞部位を特定するために施行します。
右図はレントゲンと同一症例の画像です。
右の腎尿管移行部結石がつまりが激しく、膀胱まで造影剤が流れていないことがわかります。
左の腎結石も同様に腎尿管移行部に存在しますが、膀胱まで尿の流れが確認でき完全閉塞でないこと、結石から膀胱まで他の結石などが存在しないことがわかります。
尿培養
尿検査で白血球反応がある=細菌がいる可能性がある場合に行います。結石により尿路が閉塞すると腎盂腎炎(高熱、嘔吐、腰部痛)を引き起こすことがあります。白血球反応がある場合にはこの検査で尿の中にいる細菌の特定や効果のある抗生物質を確認します。
尿細胞診
尿の中には膀胱や腎盂、尿管や尿道など尿路系の剥がれた細胞が含まれています。これを顕微鏡で観察することで、癌の疑いがあるかどうか判別します。
尿細胞診クラスⅤ
「膀胱癌のすべて」