2022年のESWL症例数は729症例、治療件数は815件でした。
ESWLの治療成績は『結石の位置、大きさ、成分、長期間停滞していたか』等によって影響されます。
詳しくは以下を確認ください。
治療率・完全排石率の定義
有効の定義:
『レントゲン上、結石が破砕され4mm以下となった』
SFR(stone free rate:完全排石率) の定義:
『レントゲン上、結石の残りが完全にない』
長期嵌頓結石の定義:
無症状で健診のエコーなどで高度水腎症で発見された尿管結石 または 長期間(6ヶ月〜1年以上)尿管に
詰まったままになった尿管結石
尿路結石症の位置による分類
腎実質内
腎臓内部(腎杯・腎盂内)
腎臓と尿管のつなぎ目
腎臓の出口から骨盤上縁まで
骨盤骨に重なる
骨盤下縁から膀胱移行部まで
腎結石(R2:腎杯結石)の体外衝撃波治療の成績は
結石の大きさと結石の位置で異なります。
特に腎臓の下に位置する結石(下腎杯結石)の排出率は腎臓の構造によって影響されます。
排石しやすい構造かどうかはCT検査の冠状断によって推測が可能です。
直径10mm以下の結石について、下腎杯以外の結石では75.0%の症例で、下腎杯の結石では68.1%の症例でレントゲン上完全排石を認めました。
直径10mm以下の結石
下腎杯以外(20例)
平均治療回数1.10回、完全排石率75.0%でした。
下腎杯(47例)
平均治療回数1.09回、完全排石率68.1%でした。
直径10〜20mmの結石
下腎杯以外(21例) 平均治療回数1.15回、完全排石率76.2%でした
下腎杯(28例) 平均治療回数平均治療回数1.29回、完全排石率46.4%でした。
結石長径が20mm前後の場合には画像検査を評価し、治療効果および合併症のリスク軽減を目的として内視鏡手術(f-TUL)等を初期治療としてお勧めする事があります。
この位置の結石は10mm以上の大きさで発見されることが多く、腎臓と尿管間の解剖学的な影響で通過障害を伴うことが多くなります。結石の嵌頓に伴う水腎症が顕著である事が多く、破砕された結石片が腎臓内に残りやすい傾向にあります.
直径10mm以下(8例)
平均治療回数1.10回、完全排石率100%でした。
直径10〜20mm(16例)
平均治療回数1.06回、完全排石率87.5%でした。
内視鏡手術(TUL)を必要とする症例はありませんでした。
結石の痛みを契機として診断された『一般的な結石』では、体外衝撃波治療による完全排石率は約90〜100%で良好です。
一方で痛みの自覚なく健診の超音波検査で水腎症(尿管の通過障害)を指摘されたり、水腎症が長期間(6ヶ月〜1年以上)におよび同じ位置から移動せず放置した結石の場合は『嵌頓結石』の疑いがあります。嵌頓結石は炎症による尿管の肥厚・閉塞を伴っている事が多く、一部の症例で衝撃波治療で結石を破砕しても尿管に取り込まれている結石の排出が難しい事があります。
2020年以降は『無症状で発見された、高度水腎症を伴う尿管結石』ではESWLが無効であることを想定して内視鏡手術を第一選択治療として推奨しています。
一般的な結石
直径10mm以下(240例)
平均治療回数1.06回、完全排石率94.2%でした。内視鏡手術(TUL)を必要とする症例は1.3%でした。
直径10〜20mm(65例)
平均治療回数1.29回、有効率%、完全排石84.6%でした。内視鏡手術(TUL)を必要とする症例はありませんでした。
この位置の尿管結石では、破砕された結石片が腎臓に戻ってしまう可能性があり、一部の破砕片が排出されない事があります。
嵌頓結石
嵌頓結石疑い症例に対するESWLは施行せず、TULを施行しています。
この位置の結石は骨盤骨に重なる位置にあるため、レントゲンで結石が同定しづらくESWL治療ができない場合があります。当院では正面と斜位30度のレントゲン撮影で結石を同定して治療を行なっていますが、それでも確認ができない場合には内視鏡手術(TUL)を選択する必要があります。
10mm未満(54例)
平均治療回数1.07回、完全排石率100%でした。
10〜20mm未満(10例)
平均治療回数1.20回、完全排石率100%でした。
内視鏡手術(TUL)を必要とする症例はありませんでした。
10mm未満(143例)
平均治療回数1.09回、完全排石率96.5%でした。
10〜20mm(13例)
平均治療回数1.23回、完全排石率100%でした。
内視鏡手術(TUL)を必要とする症例は10mm未満の症例の1例でした。