ESWL(体外衝撃波結石破砕術)の治療成績

 

　

 

　

　尿路結石症は存在する位置により分類されます。 

 

　腎盂腎杯結石：R2  腎臓内部（腎杯・腎盂内）

 

　腎盂尿管移行部結石：R3  腎臓と尿管のつなぎ目

 

　上部尿管結石：U1  腎臓の出口から骨盤上縁まで

 

　中部尿管結石：U2  骨盤骨に重なる

　

　下部尿管結石：U3 骨盤下縁から膀胱移行部まで

 

 

腎結石（R2：腎杯結石）の体外衝撃波治療の成績は

 

　直径10mm以下の結石：

平均治療回数1.15回（１回で治療が終わる確率84％）、有効率91.1％、完全排石率53.2％でした。

 

　直径10〜20mmの結石：

平均治療回数1.29回（１回で治療が終わる確率50％）、有効率95.0％、完全排石率42.9％でした。

 

　内視鏡手術（TUL）を必要とする症例は20mm以上の結石で10％認めました。

 

　結石径が大きければ大きいほど、ESWL治療回数が多くなる傾向にあります。

 

　結石長径が20mmに近い、20mm以上の場合にはESWL治療以外の治療法：内視鏡手術(f-TUL)等を初期治療としてお勧めする傾向にあります。

 

 

 腎結石（R3：腎盂腎杯結石）の体外衝撃波治療の成績は

      

　直径10mm以下の結石：

平均治療回数1.08回（１回で治療が終わる確率80％）、有効率100％、完全排石率66.7％でした。

 

　直径10〜20mmの結石：

平均治療回数1.48回（１回で治療が終わる確率100％）、有効率65.7％、完全排石率47.8％でした。

 

　結石破砕が不十分で内視鏡手術（TUL）を必要とする症例は10〜20mm未満の結石で4.3%認めました。

      

　この部位の結石がある場合には10mm以上の大きさで発見されることが多く、結石の先端の部分の通過障害を伴うことが多くなります。

      

 

上部尿管結石（U1）のESWL(体外衝撃波治療)の成績は

 

非長期嵌頓症例のうち

　直径10mm以下の結石：

平均治療回数1.07回（１回で治療が終わる確率94.1％）、有効98.5％、完全排石率95.0％でした。内視鏡手術（TUL）を必要とする症例はありませんでした。

 

　直径10〜20mmの結石：

平均治療回数1.37回（１回で治療が終わる確率71.2％）、有効率100％、完全排石率90.3％でした。

　内視鏡手術（TUL）を必要とする症例はありませんでした。

 

 

長期嵌頓症例のうち

　直径10mm以下の結石：

平均治療回数1.22回（１回で治療が終わる確率77.8％）、有効88.8％、完全排石率83.3％でした。

　破砕効果不良のため内視鏡手術（TUL）へ治療法の変更が必要な症例は11.1％でした。

 

　直径10〜20mmの結石：

平均治療回数2.06回（１回で治療が終わる確率42.1％）、有効率100％、完全排石率31.6％でした。

　破砕効果不良のため内視鏡手術（TUL）へ治療法の変更が

必要な症例は15.8％でした。

 

2018年にESWL治療を行った86%が激しい背中の痛みで初めて診断された『非長期嵌頓結石』です。この場合,体外衝撃波治療による完全排石率は約90〜95%で良好です。内視鏡手術への移行を必要とする症例はありませんでした。

　

　一方で痛みを自覚されず健診の超音波検査で尿管結石と診断されたり、長期間(6ヶ月〜1年以上)同じ位置から移動せず放置した結石の場合は『長期嵌頓結石』の疑いがあります。

　長期嵌頓結石の場合も80〜90％はESWLで治療可能です。しかし、10〜20％はESWL治療に抵抗性で、閉塞解除および結石の完全摘出のため内視鏡手術(TUL)を追加で行う必要があります。

 

 中部尿管結石（U2）のESWL(体外衝撃波治療)の成績は

 

10mm未満の結石：

　平均治療回数1.05回（１回で治療が終わる確率97/5％）、有効100％、完全排石率100％でした。

 

10〜20mm未満の結石：

　平均治療回数1.40回（１回で治療が終わる確率80.0％）、有効率100％、完全排石率100％でした。

 

   この位置の結石では結石破砕が不十分で内視鏡手術（TUL）を必要とする症例はありませんでした。

      

下部尿管結石（U3）のESWL(体外衝撃波治療)の成績は

 

10mm未満の結石で

　平均治療回数1.09回（１回で治療が終わる確率90.7％）、有効97.9％、完全排石率98.9％でした。

 

10〜20mm未満で

　平均治療回数1.00回（１回で治療が終わる確率100％）、有効率100％、完全排石率100％でした。

 

  結石破砕が不十分で内視鏡手術（TUL）を必要とする症例はありませんでした。